SHERLOCK S2E1 ベルグレービアの醜聞(1)

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SHERLOCKがすごい!とんでもホモだ!と生きるのが辛い感想文。
超ネタバレ注意。
シーズン2のエピソード1「ベルグレービアの醜聞」について。
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コメンタリーで、シーズン2はシャーロック・ホームズシリーズで重要な3点、ロマンス(愛)とホラーとモリアーティ(だったかな)を描きたかったと述べられている通り、S2-1 ベルグレービアの醜聞はロマンス要素、ついにアイリーン嬢が登場する。
個人的に、この「ベルグレービアの醜聞」はシリーズ中でも最高傑作のストーリーだ。モファット脚本すげえ!
アイリーン嬢とシャーロックの攻防(ロマンス)が、実にスリリングで美しく、ドライに切なく、だけど誰も不幸せにならない極上の優しさをもって描ききられてる。

ベルグレービアは、ロンドン中心部の高級エリア。(地図の赤く囲ってあるところ)
すぐ側に件のバッキンガム宮殿。
ちょっと右のほうを見てみると、セント・ジェームズ・パークとかウエストミンスターとか、お馴染みビッグベンにウォータールー、南の方にはバタシーなど、劇中に出てくる名前がすぐに見つかって楽しいね。
いつか行くぞロンドン。(単純)

冒頭、S1-3 大いなるゲームのラスト、爆弾撃ってモリアーティもろとも死んじゃうぞ〜!の続きから始まる。
いざ撃たんとしたその時、モリアーティに電話が。

M「出ても?」
S「どうぞ、生きてるうちはご自由に」

めんどくさそうに電話に出るモリ子かわいいよ。
声を出さずに口だけでSorryと謝るモリアーティに、声を出さないで「ごゆっくり」と返すシャーロック。
やっぱり相思相愛じゃないか!
いままさにシャーロックと死ぬんだと覚悟を決めたばかりのジョンの心情をお察しする。

電話の向こうで誰かが何かを持ってると話し「何だって!」と急に激おこぷんぷんしはじめるモリアーティ。
本当にあるなら金持ちにしてやる、ないなら皮をはいで靴を作ってやる、とその話にすっかり夢中。

M「悪いが今日死ぬのは都合が悪い」
S「面白い別件が?
M「また連絡する」

モリアーティが去り際に指を鳴らすと狙撃手は消え、とりあえず二人は助かる。
この時、アイリーン嬢が電話をかけてこなかったらシャーロックは本当に撃っていたしこのドラマのS2が作られることもなかったわけで、ここらへんの展開はドラマらしいね。(という夢のない話)
面白い別件?と聞くシャーロックはモリアーティを十分に理解している。
善側と悪側、それはほんの些細な紙一重の差で、中身は大差ないからね。
シャーロックがモリアーティの立場で“面白い”別件が舞い込んできたら、同じように死ぬタイミングを回避するんだろう。

J「どうなった」
S「誰かが彼の気を変えた、問題はそれが誰かだ」

その誰かは、現代イギリスでは表向きSMの女王様業を営むアイリーン様!
王族の女性とのプレイをお楽しみ中、わざわざモリアーティに電話をしていた模様。

場面は後日の221B。
ブログを書いてるジョンと、向かいで新聞チェックのご主人様。
シャーロックのガウンは初出しのお上品なえんじ色のもの。
(S1ではブルーのストライプしか着てない)
ジョンはここまでで一番髪が短いようだ。
S1-3で気づいたけど、やっぱりジョンのタイピングは人差し指ポチポチレベルのの拙さで、ITスキルは平均より低そうなのがわかる。
まぁ戦場行ってたし医者だし、これから上達すればいっか。
(でも昨今の医療現場ってカルテ普通に電子化してるよね)

S「それは?」
J「ブログ、僕達の
S「“僕”の
J「なぜ」
S「書いてる量が多い」

ご主人、きみは事件のあいだ大してなんもしてないだろ、と言いたいのかな?間違ってないけど。
ジョンのブログを俺ブログと言い切るあたり、強靭なジョンは僕のもの精神が伺えるね^^

そこへ呼び鈴、探偵業の依頼者がやってくる。
つまらない依頼を次々と「退屈、不倫してる、帰れ、退屈」と容赦なくぶった斬りまくるシャーロック。
平凡で謎解きの要素がないと、まともにとりあう気すらない。
「漫画のサイトをやってる、深淵なテーマの通訳を、漫画の物語が現実に起こる現象が」
こんな不可解な内容には「興味深い」と取り合う。

ちこちこブログを書くジョンを、後ろから覗きこんでるシャーロックの様子がかわいい、落ち着け
ジョンが何を(特に自分のことをどのように)書いてるか気になってしょうがない、タイトルからまず気になる。
二人の楽しい冒険生活が、順調にgoes onしはじめている瞬間
そしてこのブログのヒットを機に依頼者(客)も増え、表向きにも華やかにスポットライトが当たり始め、世間一般的には成功へと向かう上昇気流のタイミング。
いまこの時が一番幸せだったかもしれないね……。(S3を知ってるからゆえのメソメソ)

検死中もブログのことが気になる。

S「ブログに読者が?」
J「だから依頼に来る」
S「僕のサイトも」
J「“タバコの灰 240種類の一覧”なんて誰が読む?」

ムッとするシャーロックwww 顔がピクピクしてて愛しい、子供だ!
まともに反論ができないのが珍しい。
1-3でも書いたけど、ジョンの言うとおりシャーロックのブログが不人気なのは明白。
(ついでに言うと、S3-1でもハドソンさんにも誰がそんなもの読むの!って言われちゃってる!)

221Bにて、モグモグしながらジョンのディスプレイを覗いては

S「くだらない、『まだらのブロンド女』?」

とイチャモンつけて立ち去るシャーロック。
(サンドイッチか、シャーロックが物を食べてる珍しいシーンだ。)
自分の(専門的でハイレベルで)有益なブログより、ジョンのほうが人気があるのが気に食わない、けど超気になる、自分のことが書かれてるから。
ところで、ここでまた初出の黒に近いグレイのガウン

実験中も気になる。
フラスコ持ってディスプレイを覗き込んでチェック。
ここでは濃い目のタータンチェックのガウン、S2になってガウンのバリエーションいきなり増えたな!

S「未解決事件は載せるな!」
J「君の人間的な面を、(読者に)ウケる」
S「ありえない」

シャーロックとしては、未解決事件はよい実績ではないから書かれたくない。
でもジョンは、冒険の顛末だけではなく、シャーロック自体が読者の興味をひく“面白いコンテンツ”だと知ってるから書きたい。
自分が愛してやまない危険なヤツが、一般的にもウケない理由がないって信じてる。
自分を通して、尊敬する大好きな探偵(だけどむかつく)が世間からも賞賛されればいい、愛されればいいと願ってる。

J「見ろよ、1895件だ」
S「何が」
J「昨晩リセットしたのにもうこんなにアクセスが、240種類の灰よりも君の生活の糧になる
S「243種類

せめてもの反論が243種類、ご主人がジョンにやり込められた。
チクショウと思いながら、僕の事件はそんなに人の興味をひくのか、と少しずつ気づいていく。

S「今度のタイトルは腹出し殺人事件?」
J「へそ事件」

ついには自分からブログのタイトルを提案するようになる有様で、俺ブログが気になってしょうがない。

L「外にマスコミが」
S「僕らには無関心だ」
L「今や君はネットのスターだ、君たち二人の写真を撮りたがってる者も」
S「For God’s sake!(なんてことだ)ジョン、顔を隠して早足で歩け」(パクった帽子を渡す)
L「こういう大事件はイメージアップになる」
S「探偵にイメージは必要ない」(パクった鹿撃ち帽をかぶる)

ついにはマスコミが事件現場に集まるようになり、冗談じゃない!とシャーロック。
ブログ人気が上がるのは嬉しいけど「僕はヒーローじゃない」とS1-3で言っている通り、有象無象が群がって持て囃されるヒーローやアイドルになりたいわけじゃない
(実際、人気が出てしまったら避けられないよね)
と、ここの顔隠しの経緯で、初めてシャーロック・ホームズのトレードマークでもある鹿撃ち帽が登場する。
本当、モファティスは原作の大・小ネタをさりげなく取り入れて消化しちゃうんだもん、感心する。

ついに、ネットの人気者になった探偵と相棒は新聞(おそらく多くはタブロイド紙のたぐい)にまで載るようになる。
“Hat-man and Robin”
“Sherlock Net ‘Tec”
“Sherlock & John Blogger Detectiv”
“Sherlock Holmes: net phenomenon”
などが見出し。
S2-1のここまで、シャーロックとジョンの知名度と人気がどんどん上がり、有名コンテンツになっていくことが強調される。
アイリーン様ももちろんご覧になっていて、触手を伸ばし始める。

場面は221B、久しぶり!S2でハドソンさんが初登場!
荒れ放題の冷蔵庫の親指にあきれていると、依頼人がやってくる。

Boys!!!! また依頼人が来たわよ!」

登場早々 Boys!!! を聞かせてくれるハドソンさんマジ天使、天(公式)の代弁者。
1-3でも書いたように、愛に溢れる「Boys!」、すっかりニコイチだね^^^(シャとジョンが)

河原でバックファイヤーを起こしたデブの依頼人の話。
この車SAABだ、スウェーデン車だね。(脱線)

事件現場の担当刑事にレストレード君から忠告、
「彼に5分だけ現場を見せろ、彼の言葉に耳を傾けて、殴りたくなる衝動は抑えろ
レストレード君超優しい、わざわざフォローしてくれる。
なのにシャーロックときたら、ファーストネーム覚える気が1㍉たりともないから酷い話。
ところが現場に現れたのはジョン単品。

シャーロックはおうちで古代ローマ人のようにシーツを纏い、現場のジョンとSkype。
様になりすぎていてベルニーニの彫刻像を思い出すよ。
シャーロックっていう存在のどこかヒトでない超越感が、とても美しく荘厳な佇まいを一層強調してる、眠たそうだけど。
コメンタリーでは、衣装の人がシーツのシワや折り目を必死に作ってた、と語られていた。

J「こんなの不本意だ
S「僕は平気だ、小川までの様子を」(オマエは平気でもな)
J「僕が不本意なんだ」(なんで一人なんだよーってスネる)
S「重要度6の事件だ、7未満なら僕は現場に出ないと同意を、下がって、草を見せて」(容赦無い命令)
J「同意って?
S「昨日話したろ、止まれ」
J「昨日僕は留守だった
S「でも僕は話した
J「僕の留守に独り言を?
S「意識してない

デター!!! いつものやつ!!!
いつもの、ジョンは僕の手足、さらにジョンが221Bにいなくてもジョンがいるものとして振る舞うアレ。
S1-2でジョンがいないのに、ペンをくれって言って1時間待ち続けてたアレ。(出会いから2週間あまりでコレ)
S1−3で胸ポケットのスマホをわざわざ取らせるアレ。
とんだお殿様だなこのおクズ様は!
シャーロックにとって、ジョンは“いつも空気のように側にいるのが当たり前”になってる、あまりにもナチュラルに。
なのに、面倒な時はジョンだけ差し向けるとか矛盾してる、ペンほしい時どうすんの?
ジョンはジョンで知らないうちに、(場合によっては)現場に一人で出向かなきゃならなくなってて不満。
だって、すぐ側でシャーロックの観察と推理を拝む機会がなくなっちゃうんだもの、そりゃつまんないよね。
お前ら、とんだ依存関係ですね…。

シャーロック、依頼人を「あんなIQがも自尊心も低いデブが知能犯だって!?」ってコケにし倒すの痛快だね。
そこへ221Bに来客、さすがネットで話題の探偵は人気者だ。
「ご同行を、服を着て」
と連れてかれる。
同時に、ジョンも現場からヘリで謎のお迎え。
ヘリから見えてきたのはバッキンガム宮殿。
中に入ると、シーツ姿にくるまったままソファに腰掛けてるシャーロック。

S(ナニコレ)
L(ご覧のとおり、わからん)

てな感じで目で会話しないでお願い、目と目で通じ合うスキル高めてくのやめて!つらい(ゲロゲロ
ジョン、とりあえずソファに腰掛けて一言目に、パンツ

J「パンツは」
S「NO」
J「OK」(OKじゃねーよ)

間をおいて、二人で顔を見合わせて吹き出す様が愛しい。
S1-3でコニーの家で取材ごっこをした時のように、まるで中学生の悪ガキ達が悪ふざけしてる楽しさだ。
パンツすら履いてないと知って、S1-2までのジョンなら「なんで全裸のままなんだ、服着ろよ」って言ってただろう。
でもS1-3では、禁煙中のご主人に向かって「小銭あるよ」って言っちゃう甘さが見えてくる。
どういうタイミングかわからないけど、いつの間にかジョンはシャーロックに対して、基本的には見守る甘い甘いスタンスになっていく。
(でも必要なときは「人質の命を大切にしろよ!」ってちゃんと物申せる保護者。)

本当に、このS2-1は二人の探偵ライフが楽しく順調に営まれている状態、いわば夫婦円満な様子がよく描かれてる。
しつこいけど、この頃が一番幸せだったよね…。(S3を知ってるからメソメソが止まらない…今季2度目)

 

このように、S2-1ここまでは、二人の探偵業(冒険)がジョンのブログを通じて軌道に乗る経緯とその順調さ・楽しさ、そしてやたらと新調されているシャーロックのガウン(ここまでで既に3枚)が楽しめます。

中途半端なとこだけど長くなったので、続きはまた別エントリで。

One thought on “SHERLOCK S2E1 ベルグレービアの醜聞(1)

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