「当たり役」というものがある。
“ある俳優が特に評判を取った役”のことだが、やはり名作、傑作には後に「当たり役」ともてはやされる俳優/女優がピンズドでキャスティングされているものだ。
先日、トイレから戻ってきたら「LEON」がBSでやっていたのでそのままかぶりついて見てしまった。
久しぶりに観た、何年ぶりだったか。
「LEON」の素晴らしさは脚本は言うまでもなく、キャスティングの当たり役揃いっぷりだ。
よくも悪くもキャストの贔屓登用が一つ大きな特徴のリュック・ベッソン監督作品で、ジャン・レノもゲイリー・オールドマンもいわゆる常連さんだが、中でも主役の二人、ジャン・レノとナタリー・ポートマンのハマりっぷりは神憑り的だ。
あまりにも神がかっている配役に出会うと、この演者はなんて幸せな作品に出会ったのだろうと我が身のことのように嬉しく、またその作品を拝めることを大変ありがたく思う。
ジャン・レノ。
レオンを演じていたのは45歳頃、壮年極まり、そろそろ老い始めるまさに一歩手前だ。
それまで一人で生きてきた孤独なおじさんが、マチルダ(ナタリー・ポートマン)に恋をする。
少女の奔放さ・無邪気さに戸惑いながらも、マチルダに向き合っているときは心から少女を想い、時に未成年のようなウブさで、そのキュートさがとてもとても愛しい。
マチルダとの最後の別れ際のセリフは涙なくして見れない。
どんなにマチルダが大切か、絞り出すような囁きと表情にKOされる。
君は俺に生きる希望を与えてくれた
俺は幸せになりたい、ベッドで眠って、大地に根を張って
もうひとりじゃないんだ、マチルダ
そして、なにはともあれナタリー・ポートマン。
リュック・ベッソンのこの全力ロリコン趣味作品が最高傑作となりえるために、少女マチルダに必要な幼さ、美しさ、生意気さ、可憐さ、透明感、芯の強さといった要素をナタリー・ポートマンが兼ね備え、なおかつ撮影当時11〜12歳というロリータピンズド年齢という、奇跡のような完璧なタイミング。
奇跡というより、マチルダを演じるために生まれてきたとしか思えない完璧な当たり役だ。
ラスト、マチルダは地面に座り込んで鉢植えを芝生に植え替えながら
もう安心よ、レオン
と囁くひたむきな純真さに涙涙涙。
もちろん、イカれた麻薬捜査官スタンスフィールドを演じるゲイリー・オールドマンも充分にブッ飛んでいて素晴らしいけれど、出演当時のゲイリーが±3歳くらいの幅でも大きな問題はなさそうなので、ここは当たり役というよりハマり役といったほうがしっくりくる。
(とはいうもののゲイリーは大好きな役者さんだから、と念のため)
この通り、「LEON」は当たり役・ハマり役を拝める幸せを十二分に享受できる素敵な素敵な映画だ。
最後に忘れてならないのが、この悲しい愛の物語を締めくくるStingの「Shape of My Heart」でさらに駄目押し。
この憎たらしい演出、とんでもない!
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話はそれて、この「当たり役」で思い出すのが、このところの心の恋人こと大森南朋だと「ハゲタカ」の鷲津役。
その方に恋焦がれてしまうほどの強烈なピンズドの当たり役が巡り来る幸せよ。
ジャン・レノやナタリー・ポートマンにも、これをきっかけに恋煩いしてしまった人もいるんだろうと思うと、他人事ながらキュンと苦しい甘く切ない気持ちになった。
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